拳闘士の休息 (河出文庫 シ 7-1) 価格: 945円 レビュー評価:4.5 レビュー数:2 初めて読む作家の短編集。たまたま手にとってちょこっと読んだら止まらなくなってしまった。
ベトナム戦争従軍の経験はないらしいが、ベトナム戦争を題材にした表題作はそのすさまじい戦場の描写がスゴい。
ボクシングとセックスとてんかん、死といったテーマを描いた暴力的な小説だが、ニーチェやショーペンハウエルといった哲学者の言葉も散りばめられていたりする不思議に知性を感じさせる小説だ。
ほかの作品も読んでみたいが、まとまった翻訳はこれ一冊のようだ。
とりあえず、私の中では今年度ベストの翻訳短編集。 |
カンガルー日和 (講談社文庫) 価格: 470円 レビュー評価:4.5 レビュー数:22 知り合ったのは中学生...村上春樹を知るきっかけになった本☆
短編集で不思議な世界観にのまれ、はまりました↑なかなか理解までは... |
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ランゲルハンス島の午後 (新潮文庫) 価格: 620円 レビュー評価:4.5 レビュー数:8 1984-86年(村上氏35-37歳)に雑誌「クラッシィ」に掲載された25のエッセイ。
特に気付きを与えてくれるというのでもなく、村上春樹的なユニークな視点で捉えた事象が淡々とまったり&ゆるりとしたかわいらしい安西水丸さんの絵の伴奏付きで描かれてます。
「ゆるい時間を過ごしたいなぁ」なんて時にはお薦めできると思います。でも、自分がこの先果していつ読み返す時が来るのか、、、 |
物語論で読む村上春樹と宮崎駿 ――構造しかない日本 (角川oneテーマ21) 価格: 740円 レビュー評価:4.0 レビュー数:8 本書を読むと物語作りの裏側を知ってしまい、折角面白く読んでいた本がつまらないもの思えてしまうのではないかと心配になる方は、少なからずいらっしゃると思います。その意味で本書はパンドラの箱とも言えるものでしょう。小説の基本構造を知ることは、物語を作る設計図によって物語づくりを一般化する役目と、読み手のレベルを上げる役割があります。特に後者につきましては、ただ設計図をなぞった駄作を選別するのに役立ちます。読者の目が厳しくなればそれだけ供給側もレベルアップせざるを得ず、無駄な出版物が減るというものです。
しかしながら本書を読むにあったっては、それなりの読書量と清濁併せ呑 |
村上春樹 イエローページ〈3〉 (幻冬舎文庫) 価格: 800円 レビュー評価:5.0 レビュー数:1 混乱する人がいると思うので単行本との関係を説明すると、
これは荒地出版社から出た『村上春樹イエローページPart2』の文庫版です。
「Part1」は2分冊で文庫になったのに、今回は1冊にまとめられています。
(だから、ちょっとややこしい)
扱われている作品は『アンダーグラウンド』『約束された場所で』『スプートニクの恋人』
『神の子どもたちはみな踊る』『海辺のカフカ』『キャッチャー・イン・ザ・ライ』。
文庫化にあたって『アフターダーク』から最新作『1Q84』第1部・第2部を踏まえた加筆が随所に施され、
「まえが |
ティファニーで朝食を (新潮文庫) 価格: 580円 レビュー評価:4.0 レビュー数:8 映画ではヒロインのホリーはオードリー・ヘップバーンが演じているが、
これは原作に出てくるホリーとは別物と考えていいだろう。
明らかに印象が違う。
と同時に、今再び映画化されるとしたら誰ならホリーを演じることができるだろうかと考えてしまう。
翻訳者の村上春樹は解説において、カポーティの文体を絶賛していたが、
今度は原文で読んだみたいと思った。 |
辺境・近境 (新潮文庫) 価格: 500円 レビュー評価:4.0 レビュー数:24 旅行記はむずかしい。
あまりに私的なことを長々と書かれても辟易するし、かといって、単に見たものを淡々と書き連ねられても退屈なだけだし・・・・。
多くの場合(特に3流作家に多いのだが)、「何故この程度のことで、ここまで大仰に驚いたり、感動したりするの?」と、あきれる場合が多い。
その点、この本は、ノモンハンのような「辺境」も、讃岐うどんや神戸のような「近境」も、それぞれに抑制のきいた記述にもかかわらず、その場の臨場感を見事に表現している。
私は、メキシコの濃密な空気や、讃岐うどんの店のたたずまいやうどんののど越し、ノモンハ |
ノルウェイの森〈下〉 価格: 1,365円 レビュー評価:4.0 レビュー数:39 この作品には、心療病棟、自殺、失踪とういくらでも暗く深刻にすることができる要素があふれているのだが、読後は重々しさがなく、喪失の切なさのみが残った。結局、主人公の周りの自殺していった人々、その死に直面した時の苦しみも、振り返れば「過去」でしかない、そして過去の記憶は望もうと望まないと誰もが喪失していくということだと思う。 青春のはかなさや切なさを描いた傑作である。 また、派手な仕掛けはないのに、この作品の舞台の1970年前後の熱さとけだるさが混沌としている雰囲気を読者に感じさせることに、村上氏の技巧の高さがある。 |
村上春樹 イエローページ〈2〉 (幻冬舎文庫) 価格: 520円 レビュー評価:5.0 レビュー数:2 イエローページ1と同様この本も村上春樹の小説の解釈を行っている.個人的に一番面白かったのはノルウェイの森についての箇所.
ノルウェイの森は素晴しい小説だと思う.村上春樹というよりは今まで呼んだ作品の中でもトップクラスの衝撃を与えてくれた.だが「この小説の何処が良い」と聞かれた時に上手く答えることは出来なかった.感じたことをそのまま言葉に出来ないことを幾度も歯がゆく思ったものだ.
それをこの本はさらっと代弁してくれた.ノルウェイの森が与えてくれた感動の源泉,それをたったの数行で・・・それだけでもこの本は読む価値があった. |
クリスマスの思い出 価格: 1,650円 レビュー評価:4.5 レビュー数:17 <十一月も終わりに近い朝を思い浮かべてほしい。今から二十年以上昔の、冬の到来を告げる朝のことだ。>という文章にはじまる短篇小説。クリスマスを前にしたこの時期、この作品を読んでよかったなあと。心に降り積もる話の味わい、話のあたたかさ。心に静かに染みる、素敵な作品でしたねぇ。
僕ことバディーが七つだった時の、六十を越える遠縁のいとこと過ごしたクリスマスの思い出。無二の親友である彼女と四日間かけて、三十一個のフルーツケーキを作り、ふたりにとってかけがえのない友人たちに宛てて送ったこと。彼女と冬の森に行き、クリスマス・ツリーを切り倒し、引きずってきて、飾りつけをしたこと |